演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算
「あ、いやちょっと……印象が薄いかなと思っただけで」

「もっと、インパクトが欲しいということですね」

彼女はそう言うと監督と何かを話している。

そして彼女は信じられない言葉を発した。

「撮影、やり直しますね」

「え、いや。監督がOKと言うのであれば……」

俺は慌てて否定した。

「いえ。発注者である社長にご満足いただけないのであれば、意味ありません」

そう言って彼女は、再びスタジオに向かった。

「なんていう、プロ根性……」

俺はあんぐりと口を開けたままだった。

そして取り直したCMは、更に度肝を抜いた。

彼女が急にターンを決めたのだ。

さっきの撮影にはなかったシーンだ。

「カット!いいね!萌奈ちゃん、のってるじゃん!」

監督も上機嫌だ。

彼女の長い髪が、ターンと一緒に舞う。

たった30秒のCMなのに、インパクトは大だった。
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