演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算
彼女の一挙手一投足が、カメラに収まっていく。

それを俺は一瞬たりとも、見逃すことができなかった。

「はい、カット!チェック入ります」

そして彼女は、俺の側に寄ってきた。

「どうでしたか?」

「ええ。すごいですね。まるで俺の会社の社員みたいでした」

「ふふふ」

彼女は微笑みをたたえ、俺をそっと見つめた。

「チェック、見れますよ。槙田社長もご覧になりますか?」

彼女に言われ、俺もモニターを見る。

そこにはさっき撮影したものが、流されていた。

でも何だろう。心に刺さるものがない。

こんなものだろうか。

「いかがですか?」

「ええ。」

そう言うと彼女は俺の顔を覗き込んだ。

「何か足りなかったですか?」

「えっ……」

俺は大いに困った。

周りからも視線が集まる。
< 13 / 32 >

この作品をシェア

pagetop