演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算
よく考えてみれば、彼女の演技は上手い。

俺だけに見せていると思わせて、他の男にも同じ笑顔を見せているんだ。

でも待てよ。

どうして俺は、こんなにも悔しがっているんだろう。

「槙田社長」

顔を上げると彼女が俺の前に立っていた。

「この後、もう少し撮影があるんですけど、終わったら打ち上げがあるんです」

「打ち上げ?」

「槙田社長もいらっしゃいませんか?」

そして彼女はまた、あの笑顔を俺に見せた。

くそっ、やっぱり綺麗だ。

「お誘い頂いてありがとうございます。でも俺にはまだ仕事があって」

「一日くらいいいでしょう?」

彼女は俺の腕を掴んだ。

その仕草が可愛らしくて、顔が自然にニヤける。

「このCMができたのも、槙田社長のおかげですし」

なんていう誘い方だ。

「もう少し、槙田社長とお話したいですし。ね」

「はい……」
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