演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算
「いい方じゃないですか。付き合うとかないんですか?」

彼女は黙っている。

「恋人同士を演じて、そのまま恋人同士になるって、よく聞くじゃないですか」

すると彼女はカクテルを飲み干した。

「余計な詮索は止めて下さい」

初めて見た。彼女の不機嫌そうな顔。

でも、それすら魅力的に映るのはどうしてだろう。

「すみません。」

明らかに俺は遠藤明人に嫉妬している。

さっきまで握っていた彼女の手が欲しくてたまらない。

でもダメだ。

絶対今回は振り払われる。

ああ、彼女を一人占めしたい。

彼女の視線、声、華奢な指でされ、俺だけのものしたい。

「何を言ってるんだか」

「え?」

彼女は持っていたグラスの中の氷をカランと音立てた。

「いえ、こっちのことです」

彼女は俺が嫉妬していると知ったら、どうするのだろう。

打ち上げが終わり、俺はレストランの外に出た。

伊藤萌奈は、皆に挨拶をしている。
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