演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算
ほのかな甘い匂いがする。

その香りにくらくらする。

「惹かれているのは本当だ」

心臓がドキドキしている。

まるで彼女に聞かせているみたいだ。

「今すぐにでも萌奈を俺のものにしたいよ」

不思議に言葉にするとそういう気持ちになる。

身体が熱くなってくる。

俺は彼女の指に、自分の指を絡めた。

「でも君はそんな簡単に手に入る女じゃないだろ」

すると彼女は俺の首元に顔を埋めた。

何なんだ。

これじゃあまるで、俺の理性を試しているようじゃないか。

俺の理性が崩れるのを待っているのか?

待てよ。冷静になれ、俺。

相手は女優だぞ。

気のある振りはいくらでも演じられる相手だ。

そうだ。この前のドラマだって、相手の俳優とキスしてたじゃないか。

きっとそのノリで言ってるんだ。

「社長は、私のこと買いかぶり過ぎです」

「え?」

俺は彼女の顔を覗き込んだ。

「私だって一人の女ですよ?」

心臓が口から出そうになるくらいバクバクしている。
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