演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算
「……気まぐれだったら、家まで送るかよ」

彼女の目が大きく開いた。

「気まぐれなんかで抱き寄せるか?」

そしてまた唇を重ねた。

「ふぅ……あ、……」

彼女の頭の後ろに手を当て、俺に押し当てた。

「気まぐれでキスなんかするかよ」

「社長……」

「全部君が好きだからだろ」

俺は彼女を見つめた。

「本当に信じていいの?」

「ああ……萌奈が好きだ」

どちらからともなく唇が重なって、今度は吐息が重なる。

少しだけ舌を入れると、彼女はそれを受け入れてくれた。

彼女の舌と俺の舌が絡まる。

「あ、ダメ……」

砕けそうになる彼女の腰を片腕で押さえた。

このままじゃ、彼女を家に帰せない。

「これ以上は、君を傷つけるから」

最後にぎゅっと抱き寄せて、俺は彼女から離れた。

「おやすみ、萌奈」

後ろを向くと、俺は急いでタクシーに乗った。

後ろの窓から彼女の立ちすくむ姿が見えた。
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