演技派女優に本気で恋をしてしまった社長の誤算

第3章:距離の崩壊

それからの俺は何をしても、伊藤萌奈が頭を過った。

あの必死な顔のキス顔。

反則だろ、あんな可愛い顔して。

「くそっ!」

俺は持っていたペンをデスクに叩きつけた。

どうして彼女のことばかり、浮かんでくるんだ。

その時だった。

スマホがピコンと鳴った。

画面を見ると、彼女からのLINEだった。

【 今日、会えませんか? 】

「えっ?」

呆然とした。

次、誘うのは俺だと思っていたからだ。

こんなの不意撃ちだ。

俺は考えた。

彼女の誘いに、このまま乗っていいものなのか。

「うーん……」

やはり次回誘うのは、俺からにしたい。

今回は断ろう。

そう思って、文字を打とうとした時だ。

【 どうしても今日、会いたいの 】

続けてきた彼女のLINEに、顔がニヤけた。

そんなに俺に会いたいのか。

俺は返事を入力した。

【 了解。迎えに行くよ 】

送信した後、俺は仕事が終わるのがたまらなく待ち遠しかった。
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