余所者-よそもの-
目指しているコンビニから、思いがけない人物が出てくる。
一瞬、幻覚か何かかと思った。
目に入った雨粒が私の視界を覆って、ありもしない映像を投影したんじゃないか。
だってあり得なかった。
「………」
差した傘を肩と頬で支えて、財布を持ってコンビニから出てくる彼。
雨がどんどん私に浸みていく。
水分を含んだ身体は随分と重くなって、鉛で押さえつけられたみたいに動くことが出来ない。
「……カナ?」
髪が延びたと思う。
少しやつれたなと思う。
「タカ?」
彼の名前を呼んだ瞬間、それまで遠くの方で聞こえていた雨の音が突然ステレオがかったみたいに大きくなった。
「カナ!!」
それまで疑っていた全部がリアルになる。
雨の音も、雨に冷えた身体も。
――ここに居るはずのない、彼の姿も。
「ウソだ…マジだ。ありえねぇ」
意味もわからないことを言いながら、引っ掻くように私を抱き寄せてくる。
「ずっと探してた」
「なんで、ここに、いるの?」
「手当たり次第探して、行きついたのがここだった」
意味が、わからない。
「奇跡って、マジであるんだな」
なんで私を探すの?
だってあそこに捨てたじゃない。
酷い姿にして、笑って捨てたじゃない。