余所者-よそもの-

21話:独りぼっち




「カナコさん?どうしたのですか。それは……」


AnBarに帰るなり、サンコンは私の怪我を見て驚く。
私は『元カレに殴られた』とだけ、説明をした。


「手当てをしますから、そこへ」

サンコンは更衣室の奥から持ってきた救急箱で傷の手当てをしてくれた。
慣れているのか、器用な手つきだ。


「今日はお店はいいです。上で休んでいてください」

私はサンコンの言葉に甘え、BGMの控え目なAnBarの二階で横になった。


やがてBGMが消え、店内が静かになると私は動き出す。

一階に降りて、更衣室の奥。
さっきサンコンが私の手当てに使った、品揃え豊富な救急箱。


「少しだけ、お借りします」と、誰に言うでもなく断りを入れ。
斜め掛けの鞄に、中身のいくつかを拝借して詰め込んでいく。


「カナコさん、どうですか?具合は」

フロアに出ると、片付けをしているサンコンに「全然平気です」と答えた。


「急にお休みをもらってしまって、すみませんでした」

「今日は暇でしたから」

「締作業、手伝いますね」

「では、グラスをお願いします」

グラスを洗って、クロスで曇りを磨き上げて、棚に戻す。


トイレ掃除をして、一緒にフロアを片付けて。

今日は暇だった、という店内はいつもより早くに締め作業も終わった。


「サンコンさん、もう帰りますか?」

「いえ、私はあと少し事務作業をしてから」

「そうですか。それじゃあ私、銭湯に行ってきます」

「いってらっしゃい」

送り出しの声に「お疲れ様でした」と返してAnBarを出る。

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