余所者-よそもの-


「カーナコちゃんっ!どうしたの?」

「ん?なんですか、潤さん」


AnBarのオープン前。
気まぐれに遊びにきた潤さんが、カウンター越しに私の顔を覗き込む。


「最近、元気ないよね」

「そうですか?」

「……なんか、あった?」

優しく声を落として尋ねてくる潤に、私は笑顔を作って首を横に振った。


「なにもないですよ」

すると潤は額に手を当てて「あー」と姿勢を悪くする。


「あのな?男にこういう風に聞かれたら『実はそうなんです。悩みがあってぇ』って上目遣いすんの」

「……は?」

「でな?『誰にも言ったことないんですけどぉ、聞いてくれます?』って首を傾げんの」

「え、悩みがない場合はどうするんですか」

「作れ」

「なんで?」

「いい思いができるからだ」

「………」

「女は甘え上手な方がいいぞ?」

「場合によると思います」

「女の子は女の子ってだけで男に無条件に甘えて良い権利がある」

「それって”可愛い”がつく女の子限定ですよね」


そこまで言うと、潤は「んー」と少し考えた。

さっきからどうしたんだろう、この人は。


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