余所者-よそもの-

「前に八賀さんのところに行ったとき、ユキさんの部屋にあった時計を売ったんです。そしたら八賀さんに『早くこの街を出ていけ』って、『全部喰われるぞ』ってそう言われたんですけど、あれってどういう意味だったんだろうなぁって」

「ちょっと待った」

「はい」

「売った?」

「え、あ……はい」

時計をはじめ二階にあるものは好きにしていいって言ったのはユキだ。
潤だって売っちまえって言うから、売ったんだけど。


「『売った』んだな?」

「……は……い」

こちらに身を乗り出すように、念を押すようにして尋ねてくるユキ。

もしかしてダメだったのかな。


「あの時計、いくらで売れた?」

「十万円でした」

「………」

「あ、あの……売っちゃダメでしたか?」


するとユキは口に手を当て、こう言った。



「いいや……超、ナイス」



ユキは目を見開きながら、隠した口元の下では微かに笑っている。

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