余所者-よそもの-


それから程なくすると、ユキのスマホに着信が入る。

「――ああ、止まったか。ご苦労さん」


それは私たちが八賀と交渉している間、商人の足止めをしていたサンコンからで、無事に事態は収束したという知らせだった。

八賀さんは迅速に対応してくれたようだ。


これで一安心、とホッとしたところでハタと気が付く。

あれ?
今歩いてるここはどこ?


「あの、ユキさん」

「なに」

「私、帰ります」

「今帰ってるだろ」


いや、すっかりユキに着いて歩いてはきたけれど。
ここはAnBarとはまるで別の方向で、帰路じゃない。

戸惑う私に、ユキは疲れた様子で言った。


「俺んちでいいでしょ」

「え?」

「店まで送ってくのも面倒なんだよ」

「送ってくれなくても、私一人で帰れますよ?」

「今日全く同じセリフを言って、露天街とモメたのはどこの誰だろう」

「………」

はい、私です。


何も言えなくなった私は、大人しくユキの後ろをついていった。




< 233 / 276 >

この作品をシェア

pagetop