余所者-よそもの-
パソコンの入った重たそうな鞄を置いて、バンの座っている席から一つ開けた隣にどっかりと腰を下ろす。
何か飲むかな?と思い、ユキの正面に立てば、クイクイと指で招かれる。
「なんですか?」
ユキはカウンター越しに手を伸ばして、私の持っているウーロン茶のグラスを奪うと一気に飲み干した。
……それ、私のなんですけど。
「で?何の用かな、バンくん。集金のついでだ、聞いてやってもいい」
「……た、頼みがあんだよ……」
さっきまでの私への態度とは違い、弱気で話し出したバン。
ユキは肘をついて冷ややかな顔を向けている。
「どうせ、ロクでもないことだろ」
「いや……前のことはマジで悪かった。反省してる……ます!だから、もう一度ここで雇ってもらえませんか!」
バンは助走をつけるように徐々に言葉に勢いを乗せ、ガッ、とカウンターチェアの足を削る音を鳴らしながら席を立ち。
「……お願いします……!!」
なんと、土下座をして見せた。
「ほら、ロクでもない」
「何のウラもありません。本当です!!」
「裏も何も、なんでここで働きたいんだよ」
「それは……」
コイツはまた良からぬことを企んでるんじゃないだろうな?という目をしてバンを見下ろすユキ。
バンはガバッと顔を上げて言った。
「アンタに惚れた!!」
「………」
その奇妙な一言に、ユキは『ドン引き』といった表情。
いや、ホント。
どうしちゃったんだろう、この人。