余所者-よそもの-

パソコンの入った重たそうな鞄を置いて、バンの座っている席から一つ開けた隣にどっかりと腰を下ろす。


何か飲むかな?と思い、ユキの正面に立てば、クイクイと指で招かれる。

「なんですか?」

ユキはカウンター越しに手を伸ばして、私の持っているウーロン茶のグラスを奪うと一気に飲み干した。

……それ、私のなんですけど。


「で?何の用かな、バンくん。集金のついでだ、聞いてやってもいい」

「……た、頼みがあんだよ……」

さっきまでの私への態度とは違い、弱気で話し出したバン。

ユキは肘をついて冷ややかな顔を向けている。


「どうせ、ロクでもないことだろ」

「いや……前のことはマジで悪かった。反省してる……ます!だから、もう一度ここで雇ってもらえませんか!」


バンは助走をつけるように徐々に言葉に勢いを乗せ、ガッ、とカウンターチェアの足を削る音を鳴らしながら席を立ち。


「……お願いします……!!」

なんと、土下座をして見せた。


「ほら、ロクでもない」

「何のウラもありません。本当です!!」

「裏も何も、なんでここで働きたいんだよ」

「それは……」


コイツはまた良からぬことを企んでるんじゃないだろうな?という目をしてバンを見下ろすユキ。

バンはガバッと顔を上げて言った。


「アンタに惚れた!!」


「………」

その奇妙な一言に、ユキは『ドン引き』といった表情。

いや、ホント。
どうしちゃったんだろう、この人。


< 243 / 276 >

この作品をシェア

pagetop