余所者-よそもの-
「昨日俺、見たんだよ……アンタが露天商とやりあってるの。すげぇカッコよかった。あんな喧嘩見たことない。俺もあんな風に強くなりたいって思った。だから、俺をアンタの傍に置いてくれ!」
「え、気持ち悪いから」
間髪入れずに一言、バッサリと切り捨てたユキ。
真顔も真顔。
バンはショックを受けたように悲壮の表情で固まっていた。
何かの冗談を言っているのかと思ったけど、どうやら本心のよう。
もしかしたらバンは、ものすごくピュアな男なのかもしれない。
ユキは目の前の変なものから逃げるように視線を反らすと、煙草に火を付けた。
そんなユキに代わって、サンコンが話す。
「そもそも、もうここにバンくんの居場所はありません」
「なんでだよ」
「今はカナコさんが入ってくれてますし」
「辞めさせりゃいいじゃねぇか」
「………」
自分勝手なバンに、サンコンも相手をやめてしまった。
しん、としてしまった場に、バンは空気を取り返すように「じゃ、じゃあさ!」と仕切り直す。
「お前、シフト減らせ!」
「はぁ?」
勝手すぎるでしょ。
「俺、どうしてもここで働きたい。ここが好きだった。ここが好きだったってことも辞めてから気づいた。他で何個かバイトもしてみたけど、全部二日でトんだ!」
とんでもない社会不適合者だ。
よくもまぁ恥ずかしいことを堂々と言えたもんだ。
「お願いだ。俺にはここしかない。もし、もう一度ここで雇ってくれるなら、心入れ替えて頑張るから……いや、頑張ります!頑張らせてください!」
ガチン、と音が鳴るほどフロアに頭をつけて再び土下座の恰好になったバン。
「………」
ユキは何も言わない。
「バンくん、残念ですが」
それなら、とサンコンが口を開けば、
「いいよ」
なんと、ユキが容認した。