余所者-よそもの-


「毎回ここで食事をとるのか?」

「うーん。毎回冷凍食品っていうのも、いつか飽きがきそうですよね」

「料理はできないの?」

「一応できますよ。だけどユキさんチ、調理器具が何もないじゃないですか」

「カード渡したろ」

「ユキさん、料理するんですか?」

「するように見える?」

「……見えません」

「調理器具でもなんでも好きに揃えていい。今度、なんか作ってみて」


作ってほしい、じゃなくて『作ってみて』とは。
……何かの試験だろうか。

料理は人並みにはできるけれど、別に特別上手という訳じゃない。
でも……ユキが食べてくれるなら頑張ってみようかな。


「ちゃんとベッドで寝ないと、風邪ひきますよ」

「うん」

「じゃあ、また明後日来ます」

「今日は、泊まっていかないの?」


そう聞かれてドキッとした。
泊まっていきなよ、って言われているかと勘違いしてしまいそうになる。


「……か、帰ります。明日はAnBarですし!」

「そう。お疲れ様」


脳裏に浮かんだのはこの間、ベッドでの出来事。

――『お前、大胆だね』


私は逃げ出すように、ユキの家を飛び出したのだった。


< 260 / 276 >

この作品をシェア

pagetop