恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
 それから一時間ほどして界人がやって来た。

 朝陽たちはテーブルの上に並べられた手紙と写真を前に改めて状況を説明する。

 電話ではすでに聞いていた界人だったが実際に目にすると、その表情は見る見るうちに険しくなっていった。

「これは……だいぶ悪質だな……」

 写真と手紙を一枚ずつ確認しながら界人が低く呟く。

「流石にこれは見過ごせないですよね」

 朝陽がそう言うと界人は小さく頷いた。

「確かに……」
「警察に相談しようかと思っているんですけど」

 朝陽が続けると界人は手紙を見つめたあとで重いため息を吐いた。

「……こんなこと言いたくはないけど、この程度じゃ警察なんて動かないですよ。彼女の時も似たようなものだったから」
「けど何か起こすって予告してるようなもんじゃん。脅迫と同じだろ」

 思わず苛立ちを露わにする陽向に朝陽が落ち着かせるように声を掛ける。

「陽向、北丘さんに当たっても仕方ないだろ?」
「そうだけど……」

 陽向は納得しきれない様子ながらも口を閉ざした。

 界人はそんな二人を見てから静かに言葉を続ける。

「まあ、何もしないよりはマシかもしれないけど……正直、期待はしない方がいいと思います」
「そうですか……」

 朝陽はそう答えながらテーブルの上に置かれた手紙へと視線を落とした。

 確かに相手の素性が分かっているのであれば何らかの対処ができるかもしれないけれど犯人が誰なのかすら分かっていない状態で警察に届け出たところで、すぐに動いてもらえるとは思えない。

 暫く沈黙が続いたあと、朝陽がふと思い出したように界人に尋ねた。
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