恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
 あれから日を改め、四人は再び警察で事情聴取を受けることになった。

 そこで明らかになったのは、これまで亜佑美にストーカー行為を繰り返していたのが今回捕まった男本人だったということだった。

 男は村神(むらかみ) 幸也(ゆきや)、三十八歳。

 村神が亜佑美を初めて見かけたのは、偶然利用した駅だった。

 一目見た瞬間から気になり、その後何度か同じ電車に乗り合わせるうちに村神は亜佑美へ強い感情を抱くようになっていった。

 けれど話し掛ける勇気はなく、ただ毎日亜佑美が利用する時間に合わせて電車に乗り、その姿を遠くから見つめるだけ。

 そんな日々を過ごしていたある日、村神は亜佑美が朝陽と一緒にいるところを目撃する。

 彼氏がいるのだと知った村神は一度は諦めようとした。

 しかし、忘れようとすればするほど亜佑美のことが頭から離れず、抑えきれなくなった感情はストーカー行為へと変わっていった。

 さらに、亜佑美の周囲に陽向や界人まで姿を見せるようになると村神は次第に歪んだ思い込みを募らせていく。

 自分以外の男と親しげにしている亜佑美を見て、「男に媚を売っている、男なら誰でもいいのか? それなのに俺には……」と勝手に決めつけ、次第に好意は憎悪へと変わっていった。

 そして嫌がらせを繰り返すうちに村神の感情はさらにエスカレート。

「自分のものにならないのなら、いっそ殺してしまいたい」

 そう考えるまでになり、ついには亜佑美たちを襲撃した――それが村神が警察で語った一連の経緯だった。
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