恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
これからのこと
 突然の提案に戸惑いはあったけれど、正直に言えば一人になるのが怖かった亜佑美。

 アパートへ戻ればこれまで通り一人で過ごさなければならない。

 夜、一人で玄関の物音に怯えるかもしれない。

 外から誰かに見られているのではないかと不安になるかもしれない。

 そんなとき朝陽が傍にいてくれたら、そう考えると不思議なくらい心が軽くなった。

「……本当に、いいの?」
「もちろんです」
「……ありがとう。よろしくお願いします」
「はい! それじゃあ早速部屋を探さないとですね!」
「ふふっ……そうだね」

 こうして二人は同棲することを決めた。

 事件を機に始まることになった新しい生活。

 それは亜佑美にとって失ってしまった日常を少しずつ取り戻していく為の新たな一歩であると共に、朝陽にとってもこれからの未来をきちんと考えるきっかけになった。

「まずは新居を探すにあたって何を重視するか候補をあげてみましょ」
「そうだね……出来れば、セキュリティーはしっかりしているところがいいかな」
「それは勿論、当たり前です! 防犯面は特に」
「お互いに個室がある方が良いよね」
「そうですね。でも……寝室は、同じだったら嬉しいなって……俺は思ってます」
「……っ!」
「あ、あの! 別に変な意味じゃなくて……別々よりも一緒の方が安心だなって思って……亜佑美さん、あまり眠れてませんよね? 魘されたりしているときに傍に居られたらって思って……」
「……ありがとう。その、ね、本音を言うと私も寝室は一緒がいいなって……思ってるの。だってせっかく同棲するんだもん……一緒がいいよね」
「はい! それじゃあ個室は二つで、一つは亜佑美さんが使ってください」
「え!?」
「女性は個室がある方が何かと便利じゃないですか?」
「いやいや、無くても困らないよ? メイクや着替えなんかは脱衣場ですればいいし」
「うーん、それじゃあ個室は一つでもいいってことで、条件に見合うところで個室を増やしても値段が変わらなさそうなら二部屋あってもいいかなってことにしましょうか。あればあるで便利だとは思うので」
「そうだね。来客用の部屋にしても良いもんね」
「確かに。いやでもそれだと陽向が頻繁に来そうなので来客用は却下しましょう」
「ふふ。まあ朝陽くんがそう言うなら構わないけど、陽向くんが来てくれても私は全然構わないから誘ってあげてね」
「ありがとうございます」

 こうして二人は新居に求める条件を一つ一つあげていく。
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