恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
 条件が出揃うと仕事を休んでいる今のうちに決めてしまおうと、二人はさっそく不動産会社へ向かった。

 希望する条件を伝えるといくつか候補となる物件を紹介してもらい、その中から気になった物件を実際に見て回る。

 立地や間取り、周辺環境などを二人でしっかり確認していき、最終的に二人が選んだのは亜佑美の職場から徒歩十分もかからない場所にあるマンションだった。

 駅にも近く、二人が求めていた条件の多くを満たしている。

 唯一の問題は想定していたよりも家賃が高いことだった。

「いい物件が見つかって良かったですね」

 物件の契約を終えた帰り道、朝陽が満足そうな一方で、

「うん……。だけど予定してた家賃よりだいぶ高めだよ? 本当に良かったのかな」

 亜佑美は少し不安そうな表情で隣を歩いていた。

 立地が良くセキュリティーもしっかりしているからこそ家賃が高くなるのは仕方がないと分かっていても、当初の予算から大きく外れてしまったことが気になっているようだ。

 そんな亜佑美の様子に朝陽は、

「そこは俺が多めに持つので大丈夫です」
「朝陽くん……」
「それに、あのマンションなら亜佑美さんの職場から駅までの道にありますから北丘さんに送ってもらう時も丁度いい場所だと思いますし、何よりセキュリティーがしっかりしているので多少は安心ですから」

 家賃のことばかりを気にしていた亜佑美とは違い、朝陽が一番に考えていたのは亜佑美が安心して暮らせる環境で、朝陽にとって何よりも譲れない条件だった。

「……ありがとう」

 小さくこぼれた亜佑美の言葉に朝陽は照れたように笑った。

「どういたしまして。これから二人で暮らす家ですから妥協したくなかったんです」
「……そっか」

 その言葉に納得した亜佑美は、これ以降家賃についての話をすることは無かった。
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