恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
嫉妬
 互いを名前で呼ぶようになってから、二人の距離は目に見えて縮まっていた。

 朝の、「おはよう」から始まり、何気ない出来事の報告、そして寝る前の、「おやすみ」まで。

 メッセージのやり取りは、いつしか当たり前の日課になっていた。

《ここ気になるんですけど、今週末一緒に行きませんか?》

 そんな誘いが朝陽の方から届くことも増え、亜佑美は週末が来るのを毎回楽しみにしていた。

 車で少し遠くの街へ出掛ける日もあれば、電車に揺られて近場の人気店を巡る日もあり、時には亜佑美の自宅マンション付近にある小さな喫茶店で昼を過ごし、その流れで亜佑美の部屋で夜までのんびり過ごすこともあった。

 そんなある日、

「そういえば」

 何気なく口を開いた亜佑美に朝陽が首を傾げる。

「はい?」
「朝陽くんの家って、行ったことないよね」
「あ……言われてみれば、そうですね」

 いつも朝陽が迎えに来てくれていたこともあり、これまで彼の自宅へ行く機会はなかった亜佑美。

「行ってみたいな」

 軽い気持ちでそう言うと、朝陽の表情がぱっと明るくなる。

「良いですよ!」
「いいの?」
「勿論です。まあ、何もない部屋ですけど」

 少し照れたように笑う朝陽に亜佑美もつられて笑った。

「それじゃあ、来週映画を観た後とかは?」
「良いですね。そうしましょう」
「本当? 楽しみだなぁ」

 こうして急遽決まった朝陽の自宅訪問。

 二人は予定の無い週末のほとんどを一緒に過ごしていた為、新しい行き先が増えることに戸惑いはなかったし、むしろまた一つ相手のことを知れる機会が増えたことが亜佑美にとって嬉しかった。
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