恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「す、すみません……」
「え?」
「俺なんかが亜佑美さんの交友関係に口出しして……」

 申し訳なさそうに俯く姿に亜佑美の胸が痛む。

「……俺なんか、なんて言わないで」
「……でも……」
「そういう風に言ってくれたの、嬉しかった」

 その言葉に朝陽がゆっくりと顔を上げると、亜佑美は少し照れながら微笑んだ。

「朝陽くんの言葉だから、素直に頷けたんだよ」

 それを聞いた朝陽は目を見開き、暫く迷うように唇を動かしていたが、やがて観念したように口を開く。

「俺……さっきの元カレさんを見た時から、あの人に嫉妬してました」

 突然の告白に亜佑美の心臓が大きく跳ねた。

「軽そうだし、感じ悪い人だと思いましたけど……見た目は男の俺から見ても格好良かったし、背も高くて……女の人から見たら、惹かれるんだろうなって思ったから……」

 徐々に小さくなっていく声に自信なさげに視線を落とす朝陽を見ていると、亜佑美はたまらなくなった。

 どうしてこの人は、自分の価値をこんなにも分かっていないのだろうと。

 気付けば言葉が零れていた。

「朝陽くんの方が……何倍も格好良いよ……」
「……え」

 朝陽が驚いたように顔を上げると、亜佑美は真っ直ぐその瞳を見つめた。

「私には、そう見えるよ」
「亜佑美さん……」

 名前を呼ばれる、ただそれだけで胸の奥が熱くなる。

 言葉はそこで途切れたけれど、二人の間に流れる沈黙は不思議と心地良い。

 少し手を伸ばせば触れられる距離で、こんなにも近くにいるのに、後一歩が踏み出せない。

 それでも、互いの存在を確かめるように視線を重ねながら二人は確かに感じていた。

 友人という今のこの関係が変わるのは、もう時間の問題なのだということを。
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