恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
暫しの沈黙の後、ふいに朝陽は何かを思い出したように、「あ」と声を上げた。
「そうだ。少し遅くなっちゃいましたけど、お昼ご飯作りますね!」
勢いよく立ち上がり、そのままキッチンへ向かう。
今日は夜まで朝陽の部屋で過ごす予定になっているので、昼食は彼が振る舞うことになっている。
「私も手伝うよ?」
ソファーから声を掛ける亜佑美だったが朝陽は振り返りながら首を横に振った。
「大丈夫です。亜佑美さんはお客さんなんですから、ゆっくりしててください」
「でも──」
「俺がもてなしたいんです」
少し照れたような笑顔でそう言われると亜佑美もそれ以上は食い下がれなかった。
「……じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「はい」
満足そうに頷いた朝陽は冷蔵庫を開け、必要な食材を取り出すと調理を始める。
今日のメニューはオムライス。
玉ねぎを刻み、鶏肉を炒め、ご飯とケチャップを合わせたりと普段から自炊しているだけあって手際が良い。
一方、手持ち無沙汰になった亜佑美はソファーへ戻るとスマートフォンを取り出して画面を見つめながら時折指を動かしていて、その様子が朝陽はもの凄く気になっていた。
(誰かと連絡でも取ってるのかな)
誰にだってプライバシーはあるし、ましてや友人である亜佑美が誰と連絡を取ろうと自分には関係ない。
そう頭では分かっているのに、
(……気になる)
フライパンを揺らしながら朝陽は小さく息を吐く。
こんなにも気になってしまう理由は分かっていた。
その原因は亜佑美の元カレの存在で、詳しい人数までは分からないが、これまで交際してきた人数は多いだろうと朝陽は予想していた。
対して朝陽は恋愛経験が無いから、もし万が一にも亜佑美と付き合うことになったとして、果たして自分は亜佑美が過去に交際してきた男たちに勝てるのだろうかということを考えてしまっていた。
(っていうか、そんなこと考えるのは烏滸がましいよな……)
合コンで初めて会った日から気になっていて、だけど、何の接点無いから次に繋がることなんてあるわけないと思っていたのに、こうして友人になれて一緒に出掛けて休日を過ごして、それだけでも十分幸せなはずなのに。
(でも、もしこの先……亜佑美さんに好きな人ができたら……?)
ただ、それはあくまでも互いに恋人がいないから出来ることであって、この先亜佑美に恋人が出来れば当然その人が一番になるのだから、休日を過ごす相手も連絡を取る相手も特別な時間を共有する相手も自分ではなくなる。
そうなった時、自分は今みたいに友人として祝福出来るのか……今更ながら朝陽は自分が思っていた以上に亜佑美の存在が大きくなっていることに気付いた、そんな時、
「美味しそうな匂い」
ふいに声が掛かり、朝陽は肩を跳ねさせた。
「うわっ!?」
「そんな驚く?」
くすくすと笑う亜佑美が隣に立っている。
「そろそろ出来上がるなら、お皿とか出すよ?」
「あ、それじゃあ食器棚からお願いします」
「分かった」
亜佑美は自然な動作で食器棚を開けると二人分の皿を取り出した。
その姿を見ながら朝陽は一旦気持ちを切替える為、亜佑美に気付かれないよう小さく深呼吸をした。
完成した料理を皿に盛り付け、二人でテーブルへ運び、
『いただきます』
重なった声と共に、穏やかな時間が幕を開けた。
「そうだ。少し遅くなっちゃいましたけど、お昼ご飯作りますね!」
勢いよく立ち上がり、そのままキッチンへ向かう。
今日は夜まで朝陽の部屋で過ごす予定になっているので、昼食は彼が振る舞うことになっている。
「私も手伝うよ?」
ソファーから声を掛ける亜佑美だったが朝陽は振り返りながら首を横に振った。
「大丈夫です。亜佑美さんはお客さんなんですから、ゆっくりしててください」
「でも──」
「俺がもてなしたいんです」
少し照れたような笑顔でそう言われると亜佑美もそれ以上は食い下がれなかった。
「……じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「はい」
満足そうに頷いた朝陽は冷蔵庫を開け、必要な食材を取り出すと調理を始める。
今日のメニューはオムライス。
玉ねぎを刻み、鶏肉を炒め、ご飯とケチャップを合わせたりと普段から自炊しているだけあって手際が良い。
一方、手持ち無沙汰になった亜佑美はソファーへ戻るとスマートフォンを取り出して画面を見つめながら時折指を動かしていて、その様子が朝陽はもの凄く気になっていた。
(誰かと連絡でも取ってるのかな)
誰にだってプライバシーはあるし、ましてや友人である亜佑美が誰と連絡を取ろうと自分には関係ない。
そう頭では分かっているのに、
(……気になる)
フライパンを揺らしながら朝陽は小さく息を吐く。
こんなにも気になってしまう理由は分かっていた。
その原因は亜佑美の元カレの存在で、詳しい人数までは分からないが、これまで交際してきた人数は多いだろうと朝陽は予想していた。
対して朝陽は恋愛経験が無いから、もし万が一にも亜佑美と付き合うことになったとして、果たして自分は亜佑美が過去に交際してきた男たちに勝てるのだろうかということを考えてしまっていた。
(っていうか、そんなこと考えるのは烏滸がましいよな……)
合コンで初めて会った日から気になっていて、だけど、何の接点無いから次に繋がることなんてあるわけないと思っていたのに、こうして友人になれて一緒に出掛けて休日を過ごして、それだけでも十分幸せなはずなのに。
(でも、もしこの先……亜佑美さんに好きな人ができたら……?)
ただ、それはあくまでも互いに恋人がいないから出来ることであって、この先亜佑美に恋人が出来れば当然その人が一番になるのだから、休日を過ごす相手も連絡を取る相手も特別な時間を共有する相手も自分ではなくなる。
そうなった時、自分は今みたいに友人として祝福出来るのか……今更ながら朝陽は自分が思っていた以上に亜佑美の存在が大きくなっていることに気付いた、そんな時、
「美味しそうな匂い」
ふいに声が掛かり、朝陽は肩を跳ねさせた。
「うわっ!?」
「そんな驚く?」
くすくすと笑う亜佑美が隣に立っている。
「そろそろ出来上がるなら、お皿とか出すよ?」
「あ、それじゃあ食器棚からお願いします」
「分かった」
亜佑美は自然な動作で食器棚を開けると二人分の皿を取り出した。
その姿を見ながら朝陽は一旦気持ちを切替える為、亜佑美に気付かれないよう小さく深呼吸をした。
完成した料理を皿に盛り付け、二人でテーブルへ運び、
『いただきます』
重なった声と共に、穏やかな時間が幕を開けた。