恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「朝陽くん、おはよ」

 朝陽の乗る車までやって来た亜佑美は運転席の窓が開いていることを確認すると、下を向いてスマートフォンを弄っていた朝陽に声を掛けた。

「あ、おはようございます!」
「天気良くてよかったね!」
「はい!」

 朝陽は会話を交わしながら素早く車を降りると、亜佑美の持って来た旅行鞄を受け取ろうとする。

「俺がしまいますから、亜佑美さんは先に乗っていてください」
「これくらい自分で出来るから大丈夫だよ?」
「いいんです! 俺の仕事ですから! ささ、亜佑美さんは席にどうぞ」
「ありがとう」

 朝陽に促された亜佑美は荷物を預けると、言われた通り助手席側に回って席に着く。

 それから少しして荷物を積み終えた朝陽も運転席に戻って来た。

 すると、

「あ、飲み物なんですけど、どれが良いですか?」

 後部座席に置いてあったコンビニ袋を手に取ると、コーヒー、紅茶、お茶やジュースなど複数の飲み物を取り出しながら亜佑美にどれがいいかを尋ねていく。

「こんなに沢山用意してくれたんだ? 嬉しい! それじゃあ紅茶を貰おうかな?」
「はい!」

 亜佑美はミルクティーを、朝陽はオレンジジュースのペットボトルを手に取った。

「残りはクーラーボックスに入れておくので、飲みたくなったらいつでも好きな物を取ってくださいね!」

 どこまでも用意が良く気遣いの出来る朝陽に感心した亜佑美。

「ありがとう。朝陽くんって本当に気が利くね。何かごめんね、私何も用意してなくて……」

 逆に自分は全く気遣い出来ていないことに落ち込んでいると、

「そんな……っ! 逆にすみません、俺がしたことで亜佑美さんを落ち込ませてしまって……」

 何故か朝陽の方が申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

「ううん、朝陽くんは何も悪くないよ? むしろこんな気遣い出来ない彼女でごめんね……」
「俺、亜佑美さんが彼女になってくれたってだけで幸せで……傍に居てくれれば他には何も要らないので! 謝らないでください!」
「朝陽くん……」
「それじゃあ、行きましょうか!」
「うん……! 今日はよろしくね」

 どこまでも出来た彼氏で、誰よりも優しくて格好良い朝陽。

 そんな彼と今日は片時も離れることなく居られるのだと思った亜佑美は凄く嬉しくて、最高の一日にしたいなと思いながら笑顔をむけた。

 そんな幸せに満ちた二人を乗せた車は目的地へ向けて発進した。
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