恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
 道中も二人は終始楽しそうだった。

 そんな中で、これまであまり触れていなかった話題を亜佑美が切り出した。

「そういえば、弟くん……大丈夫だったの? 無事お父さんと仲直り出来た?」

 それは朝陽の弟のことで、あの日一晩泊めた朝陽は翌日共に実家へ出向き、父親と弟を仲直りさせたのだと言う。

「まあ、いつものことなんですよ。親父は基本放任主義ではあるんですけど、弟は反抗期なのか全然話を聞かないらしくて。しかも、結構遊び歩いているのでそれを咎めたら弟がキレて……。だから弟が悪いんですけどね、一度言い合いになったら俺が間に入らないと終わらないので……困ってるんですよ、本当に」

 朝陽の弟なら聞き分けが良くて優等生のイメージだが、話を聞く限り結構やんちゃな性格なんだなと亜佑美は思っていた。

「朝陽くんの弟くんってそんな感じなんだね。何か意外だな」
「俺だって昔は親父に反抗したこともありますよ?」
「えぇー? 想像出来ないなぁ」
「よく言われます。けどまあ、高校生くらいだとやっぱり親のことを鬱陶しく思うんですよね。心配してくれてるのは分かってるんですけど」
「まあ、確かにね。私もそのくらいの頃はよくお母さんと言い合いしてたかも」
「ですよね」

 年相応ということなのだろうと亜佑美は納得しつつも、朝陽の弟にすっかり興味津々だった。

「ねぇ、弟くんの写真とかないの? 見てみたいな。似てる?」
「写真は無いですね。弟、写真撮るの嫌いなんですよ。似てるかって言われると似てるかも? けど、俺は母さん似で弟は親父似なのであまり似てないかもしれないです。あ、そういえば、弟に亜佑美さんのこと話したんですよ」
「え!?」
「その、この前何処に言ってたんだってしつこく聞かれて、彼女のところに行ってたって言ったら流石の弟も悪かったと思ったみたいで……」
「そ、そうなんだね」

 まさか弟に彼女として紹介されていたとは思わなかった亜佑美は少し照れくさくなったものの、家族に紹介してくれたことが嬉しかった。
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