恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「それで……今度弟が亜佑美さんに会ってみたいって言ってるんですよね……」
「え!? 会いたい! 是非!」

 一度会ってみたいという思いから亜佑美が即答すると朝陽は、

「……なんか、亜佑美さん、嬉しそうですね……」

 どこか面白くなさそうな表情を浮かべていた。

「え? そんなことはないけど……朝陽くんの弟くんだし、会えたら嬉しいなって……思ったんだけど……もしかして、嫌だった?」
「……そうじゃないですけど……なんていうか弟は俺と違って異性にも慣れてるんで、亜佑美さんが弟に惚れないか不安で……」

 どうやらヤキモチを妬いているようなのだが、本人にはその自覚がないらしい。

 そんな朝陽を目の当たりにした亜佑美は、

「大丈夫だよ、私は朝陽くん一筋だから。それに弟くん、高校生でしょ? 歳も私とはほぼひと回り違うし、好きになるなんて有り得ないよ」

 どうにか安心してもらいたくて言葉を選びながら伝えていく。

「……すみません、弟に嫉妬とかみっともないですよね……」
「そんなことないよ。でもね、朝陽くんにはもっと自信を持って欲しいの」
「え?」
「朝陽くんは誰よりも格好良いし、私にとって王子様のような人だし、朝陽くんが思ってる以上に、私は朝陽くんのことが好きなんだよ? だからね、そんなに不安にならないで欲しいな」
「……亜佑美さん……」

 ちょうど信号待ちで車が止まり、朝陽は亜佑美の方へ視線を向ける。

「……そんな風に言ってもらえて……俺、嬉しいです! その、運転中で良かったかも」
「え?」
「そうじゃないと、キス、したくなってたから……」
「……っ!」

 それだけ言うと、信号が青になったことで朝陽は再び前を向いて車を走らせた。

「…………それなら、運転中じゃない方が良かったな……」
「え!?」
「……だって、私はキス、して欲しかったから……」
「…………そういうこと言うの、狡いです」
「朝陽くんだって狡いよ……」

 言いながら亜佑美が朝陽の方を見ると、物凄く顔を赤く染めて動揺している朝陽の姿があり、そんな彼が可愛いなと思って思わず笑みを浮かべていた。
< 70 / 90 >

この作品をシェア

pagetop