恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「二時間待ちだって」
「まあ、人気ですからね。並びましょう」
「うん」

 待ち時間を見て諦めて行く人たちもいる中、二人は当たり前のように列に並ぶ。

「天気が良いけど、日差しが強いとちょっと暑いね」
「ですね。あ、亜佑美さんはこっちに立ってください。これなら少しは陽が当たらないと思うので」

 並んでいる場所は角度的に陽が当たってしまうものの、朝陽が亜佑美の前に立つことによって少しだけそれが軽減される。

「でも、それじゃあ朝陽くんに陽が当たって暑いでしょ?」
「これくらい平気ですよ。それよりも、喉は渇いてないですか? ミネラルウォーターとスポドリ持って来たので、喉が渇いたら好きな方飲んでくださいね!」
「ありがとう」

 至れり尽くせり状態の亜佑美は嬉しさもあるがどこか申し訳ない気持ちもあった。

 そして、これまで付き合った人でここまでしてくれたことがあったかと思う程に朝陽は完璧で、こんなに良い人と付き合えたことは奇跡なのでは無いかと思っていた。

(朝陽くん、これで女の子慣れしてないんだもんなぁ……っていうか慣れてたら確実にモテるよね)

 ただ、気は遣えるけれど恋愛的な面では少し足りない部分があるようで、前方に並んでいるカップルは距離が近く、手を繋いだりしているのを目の当たりにしたことで、もう少し距離が縮まればいいのにと思ってしまう亜佑美。

 並んでいる今も少しだけ距離を感じて淋しい亜佑美は思い切って、

「ねぇ朝陽くん、この次は何乗ろっか!?」

 朝陽の腕を組み、上目遣いで彼を見上げながらこれの次に何を乗るか尋ねていく。

「えっ……と、そ、そうですね……」

 いきなりのことに驚く朝陽をよそに、何事もないかのように朝陽が開いていたマップを覗き込む亜佑美は内心凄くドキドキしていた。

(こんなこと、自分からするとか恥ずかしいけど……でも、人目があっても、朝陽くんとくっつきたい……)

 そんな思いが亜佑美を大胆にさせているようだった。
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