恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「これとかどうですか?」
「うーん、そうだね、でもこっちもいいかも?」

 近距離でマップを見ながら二人で次のアトラクションを決めると、亜佑美の想いに応えるかのように朝陽は、

「あ、進みましたね、行きましょう」

 少し進み出すと自然な形で亜佑美の手を取って前へ進んでいく。

(手……繋いでくれた)

 そしてそのまま手を繋いだ二人は特にそれに触れることはなく、あれこれと会話を続けていった。

 そして、二時間程待ってようやく順番が回って来た二人はそれぞれ席に着く。

 安全バーが下がってくると、亜佑美は少しだけ怖くなったようで表情が強ばっている。

 それに気づいた朝陽は、

「亜佑美さん、大丈夫ですか? もし良かったら手、繋いでてください。絶対離しませんから」

 そう言って微かに震える亜佑美の手をしっかりと握る。

「朝陽くん……」

 そんな頼もしい朝陽の手をぎゅっと握り返した亜佑美はもう片方の手で安全バーを強く握り締めると、コースターはゆっくり前進を始めていく。

 一番前の座席とあって余計に怖いのか、亜佑美はどんどん余裕が無くなっていく。

(無理無理無理! やっぱり怖い!!)

 そして、上昇を続けたコースターが頂上へ到達した次の瞬間、

「き、きゃあぁぁーー!!」

 亜佑美や他の悲鳴がこだましながらコースターは一気に下降していくと、ぐんぐん進んでいく。

「無理! 怖い!!」

 終始怖がり続ける亜佑美の手を朝陽はひたすら握り続けていた。

 そして、ようやく終わり元の位置に辿り着いた時には、

「うう、怖かったよ……」

 薄らと涙を浮かべた亜佑美がか細い声でそう呟いていた。

「大丈夫ですか? 少し休みましょう」

 亜佑美を支えるように歩きながら外へ出ると、空いているベンチに亜佑美を座らせてその横に朝陽も腰を下ろす。

「ごめんね、大丈夫って言ったのに、怖がっちゃって……」
「そんな! 謝らないでください! 怖いものは怖いでいいんですよ? それに、俺としてはずっと手を握っていられたから嬉しかったですし」
「朝陽くん……今も手、握って?」
「え……!?」
「駄目……?」
「いえ、そんなことはないです。それじゃあ、失礼します……」

 言って朝陽は亜佑美の手を握ると、握り返されてドキッとする。

 手を繋いだことでだいぶ落ち着いてきたのか亜佑美は元気を取り戻したようで、

「待たせてごめんね、次、行こっか」

 いつものように笑顔を浮かべながら朝陽に声を掛けた。
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