恋愛経験ゼロの年下くんが、私の一番になりました
「あ、もしかして料理中だった?」
「いえ、もう出来上がっているので気にしないでください」
「そうなんだ? 良いなぁ、朝陽の奴、彼女に手料理作ってもらって帰り待たれるとか」
「そんな……私は大したことしてないので……」

 陽向は慣れているのかリビングに入ると荷物を端に置いてソファーに腰を下ろす。

 亜佑美はキッチンでコーヒーを淹れながら陽向と会話を交わしていく。

「あの、どうぞ」
「ああ、ありがとう」

 コーヒーカップを持って陽向に差し出すと、自身はその向かい側に腰を下ろし、

「その、朝陽くんとは長いんですか?」

 興味津々で朝陽との関係性をより詳しく聞いていく。

「そうだね、長いよ~それこそ赤ん坊の頃からの付き合いっての?」
「そうなんですか!? 幼なじみってやつなんですね」
「そうそう、そんな感じ」

 そして、朝陽の子供の頃の話などを聞きながら束の間の楽しい時間を過ごし、そろそろ帰って来る時間だろうと思った矢先、

「けどさぁ、ぶっちゃけ亜佑美さんってモテるでしょ?」
「え? いえ、そんなことは……」
「だって朝陽が言ってたよ? 出逢いは合コンで、亜佑美さんは凄く人気だったって」
「まあ、連絡先聞かれたりはしましたけど……」
「亜佑美さんならこれまで色んな男と付き合って来てるんでしょ? なのに、何で朝陽だったの?」
「そ、それは……」
「こう言っちゃなんだけど朝陽は初めての恋愛だし、亜佑美さんからしたら物足りなかったんじゃない? あ、それとも新鮮さを感じたかったとか?」

 初めこそ興味というかあくまでも好意的な感じで接してくれていた陽向が何故だか急に敵視するというか妙に朝陽との関係性についてどこか疑いの目を向けるようになり、そんな彼に対して若干嫌な気持ちになった亜佑美がムッとした表情を浮かべると、

「あ、もしかして図星だった? 朝陽のことは遊び? たまにはああいう初心なタイプと交際してみたかったってヤツ?」

 どこか馬鹿にするような発言をする陽向。

 流石の亜佑美も我慢出来なくなり、

「あの、朝陽くんのお友達だからあまり強くは言いたく無いんですけど、そういう言い方、失礼だと思います。私は遊びや半端な気持ちで朝陽くんとお付き合いしてる訳じゃないですから!」

 つい言い返してしまう。

 そんな亜佑美を前にしに陽向は口元に笑みを浮かべると立ち上がり、

「へぇ? アンタ、結構気強いんだな。ただのぶりっ子女かと思ったから意外」

 急に態度を豹変させる。

「なっ!?」

 そして、驚く亜佑美の前までやって来た陽向は彼女に迫る形で近づいていき、

「俺、そういう気の強い女は嫌いじゃないぜ? 朝陽よりも経験あるし、いっそのこと、乗り換えてみる?」

 なんて口説き始めたその時、

「何やってんだよ、陽向!」

 横から低い声が聞こえて来て二人がそちらへ視線を向けるとそこには、鋭い瞳で陽向を見つめる朝陽の姿があった。
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