選べなかった恋の続きを、君と紡いで
一花はびっくりしたような顔をして、それから一度目を伏せ、俺の頬にキスを返してくれる。今度は俺が目を丸くした。
「なんで律が驚いてるの」
「返してくれると思わなかった」
「返すよ、そりゃ。返したいもん」
「……嬉しい」
噛み締めるようにつぶやくと、一花が微笑んだ。花のような、いや、どんな美しい花にも負けない可憐で綺麗な笑顔に見惚れてしまう。
やっぱりまだ夢心地なのかもしれない。同じように好きだと思ってくれていることが現実離れしたふわふわとした幸福をまとっている。
好きだな、と再会してから何度感じたかわからない恋心がまた芽吹いた。
「それより。朝ご飯、何にする?」
照れ隠しだとわかったけれど、それもかわいいので乗ることにする。
「そうだな……卵、今日消費したほうがいいかも」
「たしかに。オムレツか卵焼き。スクランブルエッグもありだけど……パンと米どっちの気分?」
「せーので言う?」
「せーのっ」
「「お米」」
綺麗に重なった声に、顔を見合わせて笑い合う。
「気が合うな」
「運命かも」
「間違いない」
半分は冗談。もう半分は本気と願いを秘めたものだった。再会も、意気投合も、全部全部運命であればいい。もし運命じゃなかったとしても、この手で運命にしたい。
「昨日買ったコーヒー豆でラテ淹れる?」
抱き締めれば、一花が腕の中で小さく尋ねてくる。じゃれつくように肩にキスを落としながら「そうしよう」と微笑んだ。
いつかまた、いわゆる世間一般の常識みたいなものに流されたり、追いかけたりしてしまうかもしれない。
でも、それでも――二度と中学の時のような後悔は選びたくない。臆病な俺のせいで、大切な彼女を傷つけることだけはしたくない。この温もりを、笑顔を、ずっとずっと守っていくために。
だから、思いの丈は伝えていこう。そんな決意を固めながら、俺は思う存分、我慢することなく彼女の白くてさらりとした頬に口づけを落とした。