ほどけるくらい、愛して〜魔術師は異世界から来た運命のひとを逃がさない〜
 自宅の最寄り駅に着き、電車を降りると、冷房の入った車内とは反対に熱い風が肌を撫でた。
 少しだけ遠回りをしてレンタルショップに寄り、目当ての洋画とそれ以外に気になっていた洋画とアニメを一作ずつ借りて、ほくほくしながら彩瑛は今は一人暮らしをしているアパートへと向かう。

 ――明日は仕事休みだし、今夜は夜更かししよっと!

 今は力を入れているゲームアプリも、イベントが落ち着いている。そろそろ限定イベントが始まるころだろうが、まだアナウンスはない。
 今夜と明日は映画を見て、適度に食べて飲んで、涼しい部屋でまったり過ごそう。

 ――にしても、あっつい……

 歩いているだけでも日差しが降り注ぎ、汗が噴き出してくる。日中ほどではないにしても、夏真っ盛りのこの時期は夜も暑い。
 こんなときは、何か冷たいものでも飲みたくなってくる。今の時期だと、きっとビールが美味しい。
 頭にそれが浮かんだときにちょうど目の前にコンビニが見え、彩瑛は気付いたら立ち寄っていた。普段気まぐれに買うものよりも少しだけ高いビールとチューハイをひと缶ずつと桃を使った新商品のカップデザートを買う。
 コンビニを出たときに見えた、煌々と輝くまん丸な満月に一瞬だけ目を細め、彩瑛は満たされた気持ちでアパートを目指す。
 肩に通勤鞄とブランドのロゴの入ったショップバッグを掛け、片手にオムライスとお総菜の入った紙袋を握り締める。欲しいものは買えたし、あとは涼しい部屋で借りた映画を見ながらビールとチューハイで夜更かしするだけだ。翌日は土曜日なので、寝坊の心配はしなくていい。最高に贅沢な金曜日だ。
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