ほどけるくらい、愛して〜魔術師は異世界から来た運命のひとを逃がさない〜
「……僕の理性をこんなに壊すのは、サエだけだよ」

 囁きながら、ギルベルトは彩瑛に触れてゆく。だがはっと彩瑛は我に返り、その行動を止めようとする。

「っギ、ルベルトさま、待って……! 汗、かいてるから、お風呂――」
「待てないし、お風呂ならあとで一緒に、ね?」

 彩瑛の言葉を一蹴して、ギルベルトは躊躇なく彼女の衣類に手を掛けていく。

「サエ……」

 白い肌に、そっと優しい口付けを落とされる。
 吐息混じりの気怠げな声がたまらなく色っぽい。
 それだけでも彩瑛の体は反応してしまうというのに。
 ――ギルベルト様のスーツ姿が、卑怯すぎる……!
 ギルベルトからの愛撫に翻弄されながら、彩瑛は視界の端に映る彼の格好に胸を高鳴らせた。
 彩瑛が知るギルベルトは、基本的にはいつも黒い外衣を着て、顔をあまり見せないようにしていた。けれど今の彼は、この世界にいるのにおかしくない、スーツ姿だ。しかも顔を隠すフードはなく、素顔を晒している。
 しかもその表情はいつもよりも熱を帯び、その目は獲物を狙う肉食獣のように彩瑛を見つめていた。前髪が乱れて両目ともしっかりと見え――そこには熱が孕んでいて。

「……そんなに僕の顔、好き?」
「ちがっ……!」

 反射的に否定したら、くすりとギルベルトが怪しい笑みを零した。
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