ほどけるくらい、愛して〜魔術師は異世界から来た運命のひとを逃がさない〜
普段は外衣に付いたフードで隠されていて、あまり顔を晒さないから知っている人は少ないが、ちょっとした事故で素顔を見てしまった彩瑛は、彼の顔立ちが整っていることを知っていた。すっと通った鼻筋に、滅多に笑みを浮かべないが、形のいい口元。
闇夜でも輝く艶のある黒髪は、襟足だけが長い。片目は完全に前髪で隠されているが、その下には宝石のように輝く紅色の瞳が潜んでいることを知っている。隠されていない方の瞳は琥珀色で、僅かに色彩の違うその瞳が、彩瑛は好きだった。
そして声。どちらかと言えば低めでどこか気怠げで、彩瑛は今までに一度も大声を出した彼の声を聞いたことがない。すっかり耳に馴染んだ彼の声で名前を呼ばれると、胸が大きく跳ねる。
背は高く、恐らく百八十は越えているだろう。けれど一般的な同年代の男性と比べるとその肢体は細身だ。本人はこの体格を少し気にしているらしいが、けして不健康という細さではないようなので、彩瑛としてはこのままでいて欲しい。
彼が王家の血を引いているということは秘されている。元々引き籠もりがちであまり人前に出なかったことも幸いして、現国王の側妃が生んだ第一子は病死したことにされた。何故彩瑛がそんな王家の秘密を知っているのかと言えば、先日彼女を浚ってわざわざ釘を刺してくれた人が、丁寧に教えてくれたからだ。
比べることすら烏滸がましい、雲の上のひと。
闇夜でも輝く艶のある黒髪は、襟足だけが長い。片目は完全に前髪で隠されているが、その下には宝石のように輝く紅色の瞳が潜んでいることを知っている。隠されていない方の瞳は琥珀色で、僅かに色彩の違うその瞳が、彩瑛は好きだった。
そして声。どちらかと言えば低めでどこか気怠げで、彩瑛は今までに一度も大声を出した彼の声を聞いたことがない。すっかり耳に馴染んだ彼の声で名前を呼ばれると、胸が大きく跳ねる。
背は高く、恐らく百八十は越えているだろう。けれど一般的な同年代の男性と比べるとその肢体は細身だ。本人はこの体格を少し気にしているらしいが、けして不健康という細さではないようなので、彩瑛としてはこのままでいて欲しい。
彼が王家の血を引いているということは秘されている。元々引き籠もりがちであまり人前に出なかったことも幸いして、現国王の側妃が生んだ第一子は病死したことにされた。何故彩瑛がそんな王家の秘密を知っているのかと言えば、先日彼女を浚ってわざわざ釘を刺してくれた人が、丁寧に教えてくれたからだ。
比べることすら烏滸がましい、雲の上のひと。