乳吸鬼♀&未来偵察メイド:悪魔と共に在る世界 ※(関連作の目次リンクあり)
第二話 白金貨一枚=私の命
(1)
レトラが檻から出されて「競売オークション」にかけられたのは、あの謎の青年が立ち去った三時間後、日が沈みかけた頃だった。
なんと、連れて行かれたのは上流階級の立食パーティーだった。そこは上級下僕である人間のエリート階級と魔族たちが飲み食いして会話を楽しむ中で、その傍らに立って買い手を決める即売展示品にされるのだ。
「よし、あなたはここに立っていい」
ここまで手を引いてきた、上級下僕の妻らしき中年女が顎をしゃくった。シルクのエプロンドレスだったが面差しには緊張と気遣わしげな落ち着かなさが入り混じっている。この女も、生まれついての上級下僕階級でないならば、大元の出身は案外にレトラとさして違わないのかもしれなかった。
この女が檻の番人と何か交渉していて書類にサインし、紙幣を支払って連れ出してくれたのだが、それで終わりではないらしい。一時レンタルして競売し、売れたときにはその利益から残りの代金を支払うのだそうで、仲介の仲買ブローカーのようなものらしい。それでも、サンドイッチを食べさせてくれたりと、この手の人間としてはマシな部類なのかもしれなかった。「親切心の内職」なのだそうで、彼女のような立場からすれば嘘ではないのだろう。
そっと耳打ちしてくる。
「まだチャンスはあるよ。あんたは器量好しだし、刺繍なんかの特技もあるんだから。十把一絡げで肉と労働奴隷に売られるよりは、VIPみたいな晴れ舞台なんだから。諦めずに、頑張って」
これも彼女なりの思いやりなのか。
「服を脱いで。あんまり下品に媚び売ることはないけれど、美術品の彫刻にでもなったつもりでおいで。それか、舞台に立った女優やダンサーみたいに堂々と澄ましておいて、愛想良く。自分は見せられるくらい綺麗で、こんなに値打ちがあるんですって顔で。できるだけリラックスして、さあ」
そうして命じられて服を脱がされ、素っ裸で円形のステージに立たされ、競りに参加した客たちから品定めされる。こうして一人で個別の小さなステージに立てるのは「優遇されたVIP待遇」なのだというのだから驚きだ。
他にも、同じような境遇の女たちが五六人くらいはいて、幸いにも「客たち」はまだ来ていなかった。それでも、料理が並ぶであろうテーブルがある内庭で服を脱いでいくと、それだけで心細くなってくる。
こんなときでも、少し考えたのは、あの奇妙な男から貰った銀貨をどうするかということ。最後の命綱にもなるかもしれないのだから、たかがコイン一枚とはいえ秘匿して守っておかなければいけない。もしも処女でなかったら、確実に股ぐらにでも押し込んだだろうが、お尻にでも隠すか口に含むことも考えた。心細いからお守りも兼ねて手でずっと握っていようかと迷う。幸いにも服は畳んですぐ足元に置いておいて良いようだったので、やっぱり服に隠しておいた。
(あの針、どうしよう?)
まだ気にかかるのは、胸に刺された針。
もう痛くはなかったし、傷痕も目立たない。ひとまずはこのままにしておくしかないし、どうせ特殊な器具を使ったり、切開でもしなければ取り出せるとは思えなかった。
風は冷たくはなかった。
それでも膝が震えてきてしまう。
情けなさと恐怖と不安で足がおぼつかない。
レトラが檻から出されて「競売オークション」にかけられたのは、あの謎の青年が立ち去った三時間後、日が沈みかけた頃だった。
なんと、連れて行かれたのは上流階級の立食パーティーだった。そこは上級下僕である人間のエリート階級と魔族たちが飲み食いして会話を楽しむ中で、その傍らに立って買い手を決める即売展示品にされるのだ。
「よし、あなたはここに立っていい」
ここまで手を引いてきた、上級下僕の妻らしき中年女が顎をしゃくった。シルクのエプロンドレスだったが面差しには緊張と気遣わしげな落ち着かなさが入り混じっている。この女も、生まれついての上級下僕階級でないならば、大元の出身は案外にレトラとさして違わないのかもしれなかった。
この女が檻の番人と何か交渉していて書類にサインし、紙幣を支払って連れ出してくれたのだが、それで終わりではないらしい。一時レンタルして競売し、売れたときにはその利益から残りの代金を支払うのだそうで、仲介の仲買ブローカーのようなものらしい。それでも、サンドイッチを食べさせてくれたりと、この手の人間としてはマシな部類なのかもしれなかった。「親切心の内職」なのだそうで、彼女のような立場からすれば嘘ではないのだろう。
そっと耳打ちしてくる。
「まだチャンスはあるよ。あんたは器量好しだし、刺繍なんかの特技もあるんだから。十把一絡げで肉と労働奴隷に売られるよりは、VIPみたいな晴れ舞台なんだから。諦めずに、頑張って」
これも彼女なりの思いやりなのか。
「服を脱いで。あんまり下品に媚び売ることはないけれど、美術品の彫刻にでもなったつもりでおいで。それか、舞台に立った女優やダンサーみたいに堂々と澄ましておいて、愛想良く。自分は見せられるくらい綺麗で、こんなに値打ちがあるんですって顔で。できるだけリラックスして、さあ」
そうして命じられて服を脱がされ、素っ裸で円形のステージに立たされ、競りに参加した客たちから品定めされる。こうして一人で個別の小さなステージに立てるのは「優遇されたVIP待遇」なのだというのだから驚きだ。
他にも、同じような境遇の女たちが五六人くらいはいて、幸いにも「客たち」はまだ来ていなかった。それでも、料理が並ぶであろうテーブルがある内庭で服を脱いでいくと、それだけで心細くなってくる。
こんなときでも、少し考えたのは、あの奇妙な男から貰った銀貨をどうするかということ。最後の命綱にもなるかもしれないのだから、たかがコイン一枚とはいえ秘匿して守っておかなければいけない。もしも処女でなかったら、確実に股ぐらにでも押し込んだだろうが、お尻にでも隠すか口に含むことも考えた。心細いからお守りも兼ねて手でずっと握っていようかと迷う。幸いにも服は畳んですぐ足元に置いておいて良いようだったので、やっぱり服に隠しておいた。
(あの針、どうしよう?)
まだ気にかかるのは、胸に刺された針。
もう痛くはなかったし、傷痕も目立たない。ひとまずはこのままにしておくしかないし、どうせ特殊な器具を使ったり、切開でもしなければ取り出せるとは思えなかった。
風は冷たくはなかった。
それでも膝が震えてきてしまう。
情けなさと恐怖と不安で足がおぼつかない。