甘い痛みは秘密の夜に〜マスクを外した天才パティシエは、独占欲の塊でした〜
スパイスは時に残酷な刺激
昨年、フランスで開催された国際製菓コンクールにて、主要部門を総なめにしたパティシエ・秋葉弓弦。帰国後は、都内の一流ホテルのチーフパティシエに最年少で就任。彼が手掛ける独創的で完璧な計算に基づいた最高級のスイーツは、連日予約が殺到しており、今最も目が離せない天才シェフの一人。
そして、そんなバックグランドさえ霞ませるほどの、洗練された美貌。世間がその完璧な姿に熱狂する中、雛子はただ一人、写真の奥の瞳に既視感を覚えている。
マスクで素顔は知らない。それなのに似ている、そう思ったのは逆にマスクで隠されたからこそ強調されたあの微笑む目が印象的だったからかもしれない。
――これ、店長さん?
いつでも温かく迎え入れてくれる主につい「店長さん……!」と呼び掛け、目を丸くされたことをハッと思い返す。その表情で何と呼ぶのが正解だったのだろう、と戸惑ったものの雛子には正解がわからない。相手も不快な感情は出さず、優しく瞳を緩ませ言ってくれたのだ。
『店長さんでいいですよ』
――いや、なにが店長! 世界の天才パティシエじゃんか!
とんでもなく馴れ馴れしく接してしまっていたらしい。雛子は知らされた現実に衝撃と共に青ざめた。そしてあの店は本当に秘密の隠れ家なのでは? 雛子はそう思った。
そして、そんなバックグランドさえ霞ませるほどの、洗練された美貌。世間がその完璧な姿に熱狂する中、雛子はただ一人、写真の奥の瞳に既視感を覚えている。
マスクで素顔は知らない。それなのに似ている、そう思ったのは逆にマスクで隠されたからこそ強調されたあの微笑む目が印象的だったからかもしれない。
――これ、店長さん?
いつでも温かく迎え入れてくれる主につい「店長さん……!」と呼び掛け、目を丸くされたことをハッと思い返す。その表情で何と呼ぶのが正解だったのだろう、と戸惑ったものの雛子には正解がわからない。相手も不快な感情は出さず、優しく瞳を緩ませ言ってくれたのだ。
『店長さんでいいですよ』
――いや、なにが店長! 世界の天才パティシエじゃんか!
とんでもなく馴れ馴れしく接してしまっていたらしい。雛子は知らされた現実に衝撃と共に青ざめた。そしてあの店は本当に秘密の隠れ家なのでは? 雛子はそう思った。