甘い痛みは秘密の夜に〜マスクを外した天才パティシエは、独占欲の塊でした〜
フワッと目の前の空気が揺れたと同時に、首筋に痛みが走る。
「いっ……!」
雛子は一瞬何が起きたかわからなかった。ちくりと、瞬間刺さった痛み。叫ぶほどではないが、確かに感じた刺激に声が漏れた。首筋にかかる熱い息が肌を撫で、秋葉の顔がゆっくりと雛子の視界を埋めてくる。
「どこの誰か知らない八重歯にいつまでもときめかれてると腹立つしね」
「今、噛んだ?」
「ちゃんと上書きしなきゃな。俺、結構嫉妬深いよ?」
いろいろ問い返したいが、雛子の思考はすでに限界を迎えている。目の前で起きていることに冷静に判断などできない。戸惑う雛子を無視するように、秋葉は長い人差し指でオムレットの生クリームをすくいあげ、それを自分の口に運び舐めた。
「ん。甘い」
その妖艶な姿にどうして視線が外せるだろう。高鳴る鼓動を抑えられない雛子に、秋葉はニッと微笑み、魅力的な八重歯を覗かせる。そのまま熱を帯びた指先を、雛子の唇に差し出した。
「舐めて」
「ンッ」
ゆっくりと割るようになぞり、押し込まれた指先。
「ケーキと八重歯だけじゃなくて、俺のことも好きになってよね」
極上のクリームの甘さと、首筋に残る痛みの余韻。見せつけてくる八重歯は確信犯か。
甘噛みされた首筋は、いまだ熱を持ったようにひりついたままだ。
好きになれない理由を教えてほしい、そしてもう……雛子はその思いを、今は熱で溶けるクリームと一緒になんとか呑み込んでいる。
八重歯は可愛い。
そう思っていた雛子だが、秋葉の八重歯でその価値観は覆されてしまった。
end
「いっ……!」
雛子は一瞬何が起きたかわからなかった。ちくりと、瞬間刺さった痛み。叫ぶほどではないが、確かに感じた刺激に声が漏れた。首筋にかかる熱い息が肌を撫で、秋葉の顔がゆっくりと雛子の視界を埋めてくる。
「どこの誰か知らない八重歯にいつまでもときめかれてると腹立つしね」
「今、噛んだ?」
「ちゃんと上書きしなきゃな。俺、結構嫉妬深いよ?」
いろいろ問い返したいが、雛子の思考はすでに限界を迎えている。目の前で起きていることに冷静に判断などできない。戸惑う雛子を無視するように、秋葉は長い人差し指でオムレットの生クリームをすくいあげ、それを自分の口に運び舐めた。
「ん。甘い」
その妖艶な姿にどうして視線が外せるだろう。高鳴る鼓動を抑えられない雛子に、秋葉はニッと微笑み、魅力的な八重歯を覗かせる。そのまま熱を帯びた指先を、雛子の唇に差し出した。
「舐めて」
「ンッ」
ゆっくりと割るようになぞり、押し込まれた指先。
「ケーキと八重歯だけじゃなくて、俺のことも好きになってよね」
極上のクリームの甘さと、首筋に残る痛みの余韻。見せつけてくる八重歯は確信犯か。
甘噛みされた首筋は、いまだ熱を持ったようにひりついたままだ。
好きになれない理由を教えてほしい、そしてもう……雛子はその思いを、今は熱で溶けるクリームと一緒になんとか呑み込んでいる。
八重歯は可愛い。
そう思っていた雛子だが、秋葉の八重歯でその価値観は覆されてしまった。
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