好きになった人は、みんなのアイドルで 4

1話 いつもどおり

「久しぶり、悠太郎くん」

「紬、会いたかったよ」

久しぶりって言うほど久しぶりなわけでもないけど
やっぱり直接会うのは違う。

荷物を置いて、抱き着いた。

「紬、人が見てるよ?」
笑いながら悠太郎くんも抱き締めてくれる。

「……会いたかった」
小さな声で呟くと、「俺も」と返ってくる。

「紬、お腹空いたでしょ?」
「ご飯食べに行こ」

悠太郎くんが言うけど、離れたくない。

「つむぎ〜」
困ったように笑う悠太郎くんが愛おしい。

「ちゅーしたい」
抱き着いたまま見上げておねだりしたら
恥ずかしそうに周りを見渡してから、
ちゅ、とキスをしてくれた。

……なんかもう、私、宇宙で1番幸せかも。

「わがまま言ってごめん。ごはん、食べに行く」
「……でもね、実は緊張して食欲無いかも」

「緊張することないよ」
「うちの家族みんな紬のこととっくに大好きだよ」
笑いながら荷物を持ってくれる。
「……ちょっと待って、お土産?重くない?」

「悠太郎くんの家に泊まるって言ったら、お母さんがめっちゃ送ってくれた」

「……俺の家族と、良い勝負かも」
「たぶん今日、紬めちゃくちゃ食べさせられるよ」

「えーどうしよう」
「でも悠太郎くんのお母さんのごはん、楽しみ」

「うん、楽しみにしてて」

悠太郎くんが手を出してくれる。
繋いだ手は、いつもどおり温かかった。
私の左手のシトリンと悠太郎くんの右手のシトリンが重なって、音を立てた。
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