好きになった人は、みんなのアイドルで 4

14話 支え

「え!飲みやすい!美味しいです!」
悠太郎くんのお母さんお手製の梅酒、
今まで飲んだ梅酒の中で1番美味しい。

「美味しいでしょー、これ特別な時しか飲ませてくれないんだよー」
笑って結衣さんがグイッと飲む。
「ねえ、悠太郎のどこが良かったの?」
「つむぎちゃん、こーんな可愛くてさ、悠太郎にはもったいないよ」

「そんな……悠太郎くんが私にもったいないです」
「かっこよくて、優しくて、まっすぐで、大好きです」
自分で言って恥ずかしくなって梅酒を飲む。
お酒の力を借りてでも、素直な気持ちを話したかった。

「泣き虫で、不器用で、バカ真面目な弟だよ」
「……そんな悠太郎が私も好きだけどね」
「アイドルの夢と同じくらい大切にしたい女の子に出会えて、良かったと思ってる」

「……悠太郎くんが素敵すぎて、ほんとに私でいいのかなって思うこともあるんですけど」
「アイドルの夢まっすぐ追い掛けてる悠太郎くん、眩しくて」
あえて口にしてこなかった気持ちが、ぽろっと出てしまう。
「……私には、そういうの何も無いから」
「ほんとに、かっこよくて」
思わず泣きそうになってしまう。

「分かる、我が弟ながら眩しく見える時あるよ」
「こないだ韓国行った時も、そこまでできるの、かっこいいなって思った」
「……てかさ、つむぎちゃんあのとき来てくれてありがとうね」
「悠太郎、つむぎちゃんが来てくれなかったらボロボロになってたよ」

「後先考えずに、来ちゃったんです」
「会いたくて、というか、会わなくちゃ、って」
「絶対、申し訳ないとか合わせる顔が無いとか、思ってるだろうなって」

「ほんとそのとおり。合わせる顔無いって言ってた」
「悠太郎一人じゃ、立ち直れなかったよ」
「つむぎちゃんがいたから、悠太郎はまた前を向けたよ」
「つむぎちゃんも、私から見たら眩しいよ」

……本当だろうか。私が。

「……悠太郎くんの、支えになりたいんです」
「私がいたら、もっと強くなれるような」
「そういう存在に、なりたいんです」

涙が出てきてしまう。
梅酒、ちょっと飲みすぎたかな。

「十分だよ」
「十分、つむぎちゃんは悠太郎の支えだよ」
「ありがとう」

結衣さんが背中をさすってくれる。
……悠太郎くんと同じだ。

「結衣〜つむぎさんのこと泣かせないで」
悠太郎くんのお母さんが駆け寄ってくる。

「ごめんなさい、私が勝手に」
泣きやみたいのに止まらない。

「プリン食べるか?」
悠太郎くんのお父さんまで。

「気を遣わせてごめんなさい、大丈夫です」
「ちょっと飲みすぎちゃいました」

「悠太郎は、良い子と出会ったな」
「つむぎさん、これからも悠太郎をよろしくね」
悠太郎くんのお父さんが、そう言ってくれる。

……ああもう。
私、早く朝倉紬になりたい。
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