好きになった人は、みんなのアイドルで 4

9話 一目惚れ

ーー悠太郎サイド

いつの間にか、姉ちゃんと紬が意気投合してる。

「悠太郎、小さい頃泣き虫でさ」
「え!全然想像できないです」
「今はもう泣かない?」
「滅多に泣かないですよ」
「後で悠太郎の小さい頃の写真見ようね」
「見たいです見たいです」

俺の話で盛り上がってるの、ちょっと嫌だけど。

「てかさ、二人はどうやって知り合ったの?」

「あ、お母さんもその話聞く」
夕飯の支度をしていた母さんまで話に入ってくる。

「悠太郎くんが通ってたスタジオと私のバイトしてるカフェが近くて」
「悠太郎くんがよく寄ってくれて顔見知りになって」
「同じ大学だって分かって話すようになったんですけど」

「私、そのずっと前から、一目惚れしてたんですよね」

……え、今なんて。
「待って、なにそれ、俺も知らないんだけど」

「へへ、初めて言った」
照れ笑いする紬。いや、一目惚れって。

「初めての授業の日、お昼に学食行って見掛けたんです」
「かっこよくて、目が離せなくて」
「……なんか、光って見えて」

「それからずっと好きなんです」
「今でも、私の目には光って見えてて」

「どんどん好きになってます」

……知らなかった。
俺が紬を知る前から、紬は俺を好きでいてくれたこと。

今すぐ抱き締めてキスしたいのに、なんでここ実家なんだ。
でも、姉ちゃんが聞いてくれなきゃこの話聞けなかったかも。
ありがと、姉ちゃん。

「俺が紬に気付くずっと前から、好きでいてくれたんだ」

「うん、人生で初めて一目惚れした」
「最初は見た目でかっこいいと思ったけど」
「中身を知って、もっと好きになった」
「あのとき学食で声掛けてくれてありがとう」

「……多分、俺もあのときにはもう気になってたんだよね」
「彼女作る気無かったから、そんなつもり無かったけど」

「俺はアイドルになるから彼女なんか作らない!って言ってたのに、このザマですよ」
姉ちゃんが冷やかしてくる。

「でもほんと、悠太郎の初めての彼女がこんな素敵な子で良かった」
「案外見る目あるのね、悠太郎」

「母さん、なんかそれ、褒められてるのか貶されてるのか分からない」

皆で笑った。
紬も笑っていた。
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