好きになった人は、みんなのアイドルで 4

8話 出会わせてくれて

「悠太郎、迷惑ばっかりかけてるでしょ」
お姉さんが笑って聞いてくる。

「そんなことないです!」
「助けてもらってばっかりで」

「夜、悠太郎いないところで悪口パーティーしよ」
「なんでも言って大丈夫だから」

「お母さんも参加していい?」

お茶目なお母さんとお姉さんで楽しい。

「……まじでやめて」
「悪口とかないよね?あったら俺に直接言って」
「まじで、直すから、なんでも言って」

悠太郎くんが真剣に言ってくるから笑ってしまう。

「……強いて言うなら」

「「「なに?」」」
3人の声が被って、親子だなって思う。

「……頑張りすぎちゃうとこ、直してほしい」
「好きだけど、心配だから」

恥ずかしくて声が小さくなってしまう。

「期待して損した、惚気じゃん」
「夜は本気のやつ、頼むよ」
お姉さんが目配せしてくる。

「……無いです、ほんとに」
「たぶん、悠太郎くんの方が私に不満あると思います」

「無いよ、全部大好き」
悠太郎くんが食い気味で答えてから、しまった、みたいな顔をする。

お母さんとお姉さんがニヤニヤして悠太郎くんを見る。

「俺が紬のことめっちゃ好きなの!知ってるでしょ!」
ヤケクソになった悠太郎くんが大きな声を出す。

「ほんと、つむぎさんに出会えて良かった」
「ありがとうね」
悠太郎くんのお母さんが目を見て言ってくれる。

「そんな、ほんとに、私の方がありがとうございます」
「悠太郎くんの好きなとこ、全部このお家のおかげです」
「悠太郎くんに出会わせてくれて、ありがとうございます」

本当にそう思った。
悠太郎くんを産んでくれて。
このお家で育ててくれて。
東京の大学に送り出してくれて。

そうじゃないと、出会えなかった。
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