45歳派遣OL、年下上司に囲われて溺愛されました
「いないよ。この歳になると、早々に見つからないものだね」

そんなはずはない。この歳だと、余計に彼の価値は高まるはずだ。

彼のような誠実で、責任感が強く、そして部下を大切にできる男を、女性が放っておくはずがない。

けれど、彼が独身で、相手がいないという事実は、どうしようもなく私の中の「よこしまな想い」を刺激した。

――その相手の一人になりたい。

そんな、叶うはずのない妄想が、酔いのせいか頭を過る。

私はグラスを握りしめ、彼の瞳の奥を覗こうとした。

彼はただ、満足げに周囲の様子を眺めている。

もし、彼がこの場にいる他の誰かではなく、私という人間をもっと深く見つめてくれたら。

そんな高望みを抱いてしまうほど、今夜の彼の隣は心地よすぎた。

時計の針は既に21時を回っている。

飲み会は佳境を迎え、宴はさらに騒がしくなっていく。

けれど、私と彼の間にあるこのささやかな距離だけは、まるで時が止まったかのように静かで、甘い予感に満ちていた。

明日になれば、また「部長」と「派遣社員」に戻る。

それでも、今夜彼と交わした言葉の数々は、確実に私の心の中に刻まれていく。

私は小さくため息をつき、空になったグラスにもう一度、部長のビールを注ぎ足した。
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