一流御曹司は若い婚約者よりも45歳の私を溺愛する

1話 45歳の私は、恋愛の主役ではないと思っていた

レジ横の古いカレンダーをめくりながら、私は小さく息を吐いた。

「15年か。早いなぁ」

30歳でこの小さな花屋を構えてから、あっという間だった。

店を潰さないように、ただそれだけを考えて必死に走り続けてきた15年。

「店長、今日もいいバラが入りましたね」

「本当ね。水揚げしっかりしてあげて」

従業員との会話も、今では仕事の確認がほとんどだ。

「恋愛なんて、二の次だったものね」

独り言が店内に静かに溶けていく。

気づけば、独身のまま45歳になっていた。

過去に恋人がいなかったわけではない。

20代の頃は、それなりに情熱的な日々もあったはずだ。

「美波、もっと俺の方を見てくれよ。店のことばかりじゃないか」

そう言われて、ハッとしたことがあった。

結局、私は仕事ばかりを優先して、相手に寂しい思いをさせてしまった。
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