一流御曹司は若い婚約者よりも45歳の私を溺愛する
彼はまだ、私の手元に視線を向けたまま、静かに微笑んでいる。

私はエプロンの上で両手をぎゅっと握りしめた。

恥ずかしさと、隠しきれない喜び。45歳の私が、こんなにも純粋に、言葉一つで浮き足立っているなんて。

「お代は、こちらでよろしいですか?」

事務的にそう問いかけるのが精一杯だった。

この静かな時間の中で、彼との境界線が少しだけ曖昧になっていくような気がして。

私は少しだけ、この緊張の続く時間を愛おしいと思ってしまった。

彼の視線が私の手元から、ふわりと顔へと移った。

その瞳に見つめられていると、自分の中に隠していたはずの動揺が、さざ波のように広がっていく。

少しだけ胸の奥が落ち着かなくなり、私は逃げるようにレジへと向かった。

「……五千円お預かりいたします。今、おつりを出しますね」
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