一流御曹司は若い婚約者よりも45歳の私を溺愛する
「ありがとうございます。嬉しいです」

私は努めて落ち着いた声で返したが、頬の赤みまでは隠しきれなかった。

(これは、単なるお世辞よ……)

私は自分の心に、冷たい水をかけるように言い聞かせた。

彼ほどの男性なら、どんな女性にもこれくらいの優雅な褒め言葉をさらりと投げかけられるはずだ。

そう自分を納得させなければ、この高揚感をどう処理すればいいのか分からなくなる。

しかし、一度刻まれた言葉の温もりは、消えそうにない。

彼は満足そうに、ラッピングされた向日葵の花束を手に取った。

私が丁寧に手入れをしてきたこの指先が、彼の手元へと花を届けた。

その事実だけで、胸が切なく、そして甘く震える。
< 24 / 30 >

この作品をシェア

pagetop