とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
 彼が優しくするのは自分だけではないと思いながらも、嬉しくて仕方のない自分がいる。

「そんな大したものじゃないよ。誰に対してもそうするわけじゃないし」

 まるで愛梨の心を読んだかのように言葉が返ってきたので、恥ずかしくて視線を逸らしてしまった。

「なんか私、楓介くんに甘やかされてばかり」
「そういう相手になるって言ったでしょ? 愛梨が甘えてくれたら、俺は愛梨だけのヒーローになるんだ。だから遠慮しないでね」

 胸がくすぐったくて、体に震えが走る。こんなに満たされていいのか、不安になるほどだった。

「愛梨、もしかして照れてる?」
「だ、だってそんな言葉、言われたことないから……でもすごく嬉しい。ありがとう」
「実は俺も初めて言った。なんか愛梨にはこういうセリフがすらすら出てきちゃうんだよね」

 出れた様子で頭を掻きながら、楓介ははにかんだ笑顔を向けた。

 再会してからずっと、彼が動揺するところを見たことがなかった愛梨の目に、その姿は新鮮に映った。

「じゃあ……その時は助けてもらおうかな」
「うん、任せてよ」

 その時、注文していたホットコーヒーとモーニングセットが運ばれてきたため、二人の距離がふっと離れる。

 それがほんの少し残念に感じた。

「楓介くんは、今日は何か予定はあるの?」
「いや、特にはないかな。光一が『会いに来い』って言うから、午後に行こうかと思ってるけど」

 光一の名前を聞いた時、愛梨の頭に祥子が思い出され、トーストを食べていた手を止めた。

「私、あの日以降高田くんのお見舞いに行ってないの。どうしていいかわからなくて……」
「別にいいと思うよ。だって愛梨にとって光一って、友達の恋人なわけじゃない? それって俺でいえば尾原さんになるわけで、自分がその立場になったって考えても、やっぱりお見舞いには行かないかな。友達から様子を聞けばいいわけだし」

 愛梨は肩の力が抜けていくのを感じる。同じ感情を共有出来る人がこんな近くにいたことを、今になって思い出した。
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