とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「あはは……なんだ……そんな簡単なことだったのに、どうして一人で悶々と考えちゃったんだろう。もっと早くに聞けばよかった……」
「そうそう。溜まってることがあれば、全部吐き出しちゃっていいんだからね」
「うーん……いきなり全部は無理だけど、少しずつ聞いてもらえたら嬉しいかな」

 どこかで自分の話は面白くない、わかってもらえない──否定されるのが怖くて、傷付くくらいなら言わないでおこうと決めていた節がある。

 楓介には言えてしまうのは、彼の応え方にあるのだろう。

(祥ちゃんと話そうって思っていたのに、この間はやっぱり逃げちゃった。次こそは話せたらいいな)

 祥子が楓介のように話を聞いてくれるかはわからないが、今は楓介がいてくれる。落ち込んでも励ましてくれる人がいるというのは、心強かった。

「愛梨は? 予定ある?」
「私は溜まった洗濯物とか、買い物とかかな。平日はなかなか時間が取れないから」
「その後は?」
「特には……」
「じゃあ夕食も一緒にどう?」

 愛梨は驚いて目を瞬いた。嬉しい誘いであるものの、少しの不安も感じる。

「いいんだけど……でも連続過ぎない? ほぼ丸一日一緒にいることになるよ」
「だってそれくらい楽しいんだ。でも愛梨が嫌なら断ってくれて構わないから」

 断る理由なんて存在しなかった。愛梨はコーヒーカップで赤くなった顔を隠すように、小さな声で呟く。

「じゃあ……星の話が聞きたいな。楓介くんが好きなことを教えてくれる?」
「うーん、それだと話が止まらなくなっちゃうけど、それでもいい? そうしたら、また泊まっていけばいいか。部屋着も洗濯中だし」

 二人は顔を見合わせて、他のお客に迷惑にならないよう声を押し殺して笑う。

「病院に行った後に待ち合わせようか。それとも愛梨も一緒に行く?」
「ううん、私と楓介くんが一緒にいたらおかしいからやめておく。それにさっきの楓介くんの言葉で、ちょっと吹っ切れたから」
「うん、そうだね。じゃあ帰る前に連絡する」
「わかった。じゃあ準備して待ってるね」

 今夜も楓介に会えることに、心が軽やかに弾んでいる。

 本当はこの気持ちの正体に薄々気付き始めてているが、それを認めるのはどこか不謹慎な気がした。

 光一が無事に退院をして、祥子の願い通り結婚式が行うことが出来るその日まで、楓介と友達でいたいと思った。
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