ソング・ツインズ
「そう思うならお母さんをわたしに返してよ」
顔を上げた佳苗の目尻に涙が浮かんでいる。
「ごめん、お姉ちゃん」
「謝らなくていいよ。謝らなくていいから返してよ」
佳苗の肩が小刻みに震えている。
あぁ、わたしはなんて意地悪な子なんだろう。
佳苗がお父さんが死んだことを知っているのなら、お母さんだって当然知っているはずだ。
それでも迎えにこなかったことが、すべての答えなのに。
「だけどお母さん言ってた。施設にいた方が苦労しないかもしれないって」
「なにそれ」
「お姉ちゃんと同じ施設に行く? って聞かれたこともある」
わたしは目を見開いて佳苗を見つめた。
頬に涙が流れていく。
< 48 / 72 >

この作品をシェア

pagetop