ソング・ツインズ
首を左右に振ると、涙がこぼれてしまった。
「なんでもない。なんでもないよ。大丈夫」
そう言いながらも涙は止まらない。
佳苗だって、辛かったんだ。
始めてそれを理解した。

☆☆☆

文化祭当日の朝、昨日まで感じていた頭の重さが軽くなっていることに気が付いた。
布団の上に座って「あー」と声を出してみる。
スッと通った声をすんなりと出すことができて目を丸くした。
長引きそうだと思っていた風邪が治っている。
試しに中庭へ出てバンドのオリジナルソングを口ずさんでみると、いつも通りの声が出た。「これなら歌える!」
喜びが湧き上がってきた次の瞬間には佳苗の顔が浮かんできていた。
< 53 / 72 >

この作品をシェア

pagetop