桜花転生奇譚
「……あの、もう1つお願いしたいことが……」

申し訳なさそうに、女性は私を見つめる。私が「どうしました?」と首を傾げると、女性は「その前に、私のことをお話します」と今度は、真剣な表情を私に向けた。

「……私、赤松結衣(あかまつゆい)と申します……数日前、私の母が怪異の仕業により、病に倒れまして。お医者様が言うには、怪異による病を治す薬を作るためには、魔石というものが必要だ、とのことでして……魔石は、たまに怪異が作る石らしく、魔石のことを聞くために、祓魔師を探し回っていたのでございます」

……魔石って、確か……。

つい最近聞いたことのある言葉に、私は驚く。そして、萌歌さんの説明を思い出した。

怪異がたまに作り出す、瘴気が凝縮して出来た特殊な石。魔力を帯びていることから、魔力石とも呼ばれている……だっけ。

「魔石、ですか……知り合いに、魔石について詳しい人がいるので聞いてみます」

私がそう答えると、女性――結衣さんは「本当ですか!?」と私を見つめる。

私が頷くと結衣さんは私の右手を両手で握り、「ありがとうございます!助かります!」と満面の笑みを浮かべた。



「――ということがありまして……」

日勤の仕事が終わったあと、私は寄り道をせずに萌歌さんの研究所へとやって来た。

研究所には、萌歌さんだけでなく、萌歌さんの研究を手伝っているらしいひかりちゃんもいる。ひかりちゃんは、椅子に座って資料を眺めていた。
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