桜花転生奇譚
3、芽吹く春
2人きりの時間
あの日から、3か月近くが経った。あの日以来、玲さんとは、たまにの頻度で2人きりで出かけることが増えた。玲さんが誘ってくれるその日を、私は密かに楽しみにしている。
あの日以来、蒼さんもひかりちゃんと2人でよく出かけるようになった。蒼さんを見ていて、私は気づいたんだ。
蒼さんは、ひかりちゃんのことが好きなことに。ひかりちゃんは、それに気づいているかどうかは知らないけど。
……多分、気づいてないだろうなぁ……。
そんなことを思いながら、私は1人屋敷の廊下を歩く。今日は、非番だ。
私は、珍しく水色の花柄の着物に紫の袴という格好をしている。たまたま合わせてみた時に、可愛いかったから。
袴も、たまになら着てもいいかもしれない。
「優月」
私の好きな人の声が聞こえてきて、私は声がした方を見た。私と同じく非番の玲さんが、私服姿で立っている。私の胸が、高鳴っていった。
「玲さん、おはようございます」
「おはよう……少し、2人で出かけないか?」
玲さんからのお誘いに、私は「はい、行きたいです!」と返事をした。
30分後、出かける準備をした私は、玲さんとともに街へと向かった。
玲さんとの間に会話はないけど、居心地がいい。気まずいとも思わない。
「……優月は、犬は好きか?」
街に着いた頃、玲さんが話しかけてくる。玲さんからの意外な質問に、私は少し驚いてしまった。
「大好きです!」