トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
ネットに仕掛けられた罠を破るための周到な訴訟準備

闇に葬られかけた無実を証明するための地道な証拠集め

さらには、手のひらを返したように厳しい対応を迫ってくる各スポンサーへの謝罪と説明、連日執拗に追いかけてくるメディアの取材対応

現場を統括する黒瀬さんに至っては、いつ倒れてもおかしくないほどの不眠不休のスケジュールをこなしており、鏡を見るのも恐ろしいほど目の下に深いクマを作っていた

「……マジで、一歩先は崖っぷち。倒れそうだよ」

自嘲気味にそうこぼす黒瀬さんの背中は、いつになく小さく見えた

それでも、世界を納得させるだけの「決定的な証拠」は、未だに闇の向こうから見つかっていない

だから、俺たちはどれだけ焦燥感に焼かれようとも、身動き一つ取ることができなかった

突きつけられたのは、事実上の自宅待機

そして、世間的には『黒騎士』の完全な活動休止状態

デビューという過酷なサバイバルを勝ち抜いて以来、これほど長くて先の見えない休暇を強いられたことなんて、メンバーの誰もが一度だって経験したことがなかった

だからこそ、余計に居心地が悪くて落ち着かない

身を削るような仕事がない日常に、俺たちの身体がどうしても馴染んでくれなかったのだ

その日も、俺と優朔、そして蒼依の三人は、磁石に引き寄せられるようにして事務所の会議室へと集まっていた

長テーブルの上には、弁護士から渡された過去の判例や、ネットの書き込みを印刷した大量の資料がうず高く積まれている

けれど、専門家ではない俺たちがいくら目を凝らしたところで、今日この場で何かが劇的に進展するわけでもなかった

手持ち無沙汰になった蒼依が、所在なげに会議室のレザーソファへとバタンと仰向けに寝転がる

「……あー、暇っすね……」

天井の蛍光灯を見つめながら、蒼依が心の底から絞り出すように呟いた

「マジで、一刻も早く働きたいっす……」

「……こらこら、文句言わないの」

壁際のパイプ椅子に腰掛けていた優朔が、いつもの低い声ですかさず冷ややかに返す

その冷淡なツッコミに、俺は手元のペンを弄びながら、力なく苦笑いを浮かべるしかなかった

優朔の言う通り、今はただ大人しく耐えるしかない

分かってはいるけれど、蒼依の「働きたい」というあの言葉は、俺たち全員の本音そのものだった
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